このあいだ目白の吉村順三ギャラリーでみつけた、
ある女子大のキャンパスの改修計画について書かれた文章のなかに出てきた
『残すことは作ること』という言葉が、ずっと頭に残っている。
『残すことは作ること』という言葉が、ずっと頭に残っている。
残すというのは、ただ置いておく、放っておくことと同じように思われる。
でもきっと残そうとしない限り、残らないもののほうが実は多い。
そのような意味で「残す」ことは極めて能動的な行為であるようだ。
それはそこにあるものを壊して、ゼロから全く新しくつくるよりも、
もしかするとずっと大変で、創意工夫が必要なことの気がしてくる。
そう考えると、普段はあまり気づかない、
あたりまえのようにそこにあるように思われるものでも、
実は誰かの「残したい」という不断の努力の上に
かろうじてあるのかもしれない。
放っておくと物事は朽ちていく以上、
「残す」ことは、それ自体抵抗であるし、ひとつの意思でもある。
また、だからこそそれはとても人間的な行為であるようにも思われる。
(そしてきっとなくなってしまうものを写真におさめることも、
そのひとつであるとおもう。)
その意味では、実は「残す」ことは最も切実な
「つくる」行為なのかもしれないと考えた。
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